どのような種類があるのか・・

ブレーキマスターシリンダーのリペアキット、そんなに何度も交換する必要は無いと思いますが30年も40年未交換のままでは何れフルード漏れ等のトラブルに見舞われる可能性が高くなります。

レストア時には確実に、実働車を入手した際は本格的に乗り出す前に予防的に交換しておきたいものです。

ちなみに、ブレーキマスターシリンダーは1系統のものと安全性を高めた2系統のものがあり、ミニキャブは’74年あたりから2系統に切り替わっています。

ここでは1系統のもので話を進めます。

マスターシリンダのリペアキット

マスターシリンダとその仲間たち(左が新、右が古い仲間たち)

 

三菱360cc系のマスターシリンダには何種類あるのか分かる範囲で調べてみたところ、

  • 1960年代のLT2x/LA2x系のミニカ(typeA)
  • 1960年代のLT30のミニキャブ(typeB)
  • 1969年以降のA100系ミニカ(typeB)
  • 1971年以降のT130系ミニキャブ(typeB)
  • 1974年以降のLT30V/T130系のミニキャブ(こちらは2系統)

といったところで、恐らく2種類です(typeA,Bは便宜上付けた名称)。

 

買えるの?

そもそも入手は可能なのかどうか・・・

すぐ思いつくところではオークションや旧車ショップの当時モノです。
が、いいお値段していると思われますし、古い場合はゴムの劣化具合も気になるところです。

しかし、新品も入手可能です。
若い子からお年寄りまで知っている「制研クラシック」で入手出来ます。
いわゆる「seiken」です。

サイトを覗いてみますと以下2種類のリペアキットが入手出来ます。

seikenのリペアキット

seikenのリペアキット(制研のホームページより)

seiken型番SX35002とSX35008です。

上図の通りですがSX35002はLA2x系ミニカ、SX35008はA100系ミニカです。
これはマスターシリンダの形状が違うためです。

 

で、ミニカ乗りの方は・・・

ミニカにお乗りの方は、

  • LT2x系の場合はSX35002
  • A100系の場合はSX35008

を注文すれば良いわけで特に難しいことはありません。

気になるのはLT25のピックアップです。
このミニカピックは’73年頃まで製造されており、当時のままのマスターシリンダで生産が続けられたのかが不明です。
ただ、’73年発行のLT2x系ミニカのパーツカタログを見る限り年代による差異の記載がなく、恐らく当時と同じものが付いていると思われます。

なお、A100系の場合は、ミニカ70(A100、A101)/ミニカスキッパー(A102)/ミニカF4(A103)のラインナップがありますが、A100のパーツカタログとA103のパーツカタログに掲載されているリペアキットの型番が同じためこれらはSX35008を選べばOKであることが分かります(A102のパーツカタログが無いので何とも言えませんが恐らく同じかと)。

A100マスターシリンダ

A100ブレーキマスターシリンダ

A100ブレーキマスターシリンダ

A100パーツリスト

A100パーツリスト

 

A103マスターシリンダ

A103マスターシリンダ

A103マスターシリンダ

A103パーツリスト

A103パーツリスト

 

ではミニキャブ乗りはどうすんのよ??

そうなんす。

困るのはミニキャブの場合です。seikenにもどこにも情報がありません。
頼れるのはパーツカタログのみです。

というわけで、確認です。

 

T130系ミニキャブ

’73年発行のミニキャブパーツカタログで確認してみます。

LT30、T130系ブレーキマスターシリンダ

LT30、T130系ブレーキマスターシリンダ

「NEW」と「OLD」の記載があります。「NEW」はT130系、「OLD」はLT30を表しています。
「?」の部分については構成が記載されておらず不明ですが、これについては後述します。

 

LT30、T130パーツリスト

LT30、T130パーツリスト

パーツリストの記載から「NEW」は1種類しかないため、T130系ミニキャブの場合は話は簡単です。
で、よくよく図を見てみると部品構成がミニカA100系と同じであることが分かります。さらにマスターシリンダに関してはミニカF4(A103)と全く同じです(「47431 RING」がミニカ側に掲載されていませんが交換可能部品です)。

というわけで、T130系ミニキャブの場合はseikenの「SX35008」でOKということになります(実際に、当時SX35008を購入して対応しています)。

ちなみに、’74年頃から2系統に変更されていますので「SX35008」は使用出来ません。

 

LT30ミニキャブ

上図のパーツカタログを確認すると「OLD」のマスターシリンダには年代違いに2種類あるようですが、その差異までは確認出来ません。
最も古い型番のものはもしかするとオルガンペダル時代の型番かもしれません。ここでは言及しないで話を進めます。

LT30、T130系ブレーキマスターシリンダ

LT30、T130系ブレーキマスターシリンダ

気になるのはT130系と同じでOKなのか、それとも年代的にLT2x系ミニカと同じなのか、という点です。

まずはT130系と同じか検討します。
上図の赤部品は「OLD」側に設定が無いものですが、「?」の部分が記載されていないので分かりません。
そこで、LT30も掲載されている古いミニカのパーツカタログで確認しますと・・・

1968年当時のLT30マスターシリンダ

1968年当時のLT30マスターシリンダ

このようになっており、1968年までのLT30はT130系に近い構成であることが分かります(T130系にある部品は設定が無い)。
では、何故T130にある部品が設定されていないのか?
設定されていないというよりは、あとから品質や信頼性、耐久性向上のために設定されたと考えられます。

この図から判断すると、恐らく両者で互換性があると思われます。
よってLT30の場合もミニカA100用 SX35008 でOKと思われます。

 

が、LT30は年代的にはLT2x系です。本当に違うのか確認してみます。

先ほどと同じパーツカタログを確認すると、

LT2x、LA2x系マスターシリンダ

LT2x、LA2x系マスターシリンダ

このようなタイプのマスターシリンダのようで明らかにミニキャブ系と違います。
特にピストンの形状からして違うようです。

ということで、LT30の場合もミニカA100用 SX35008 でOKそうだ、と言えそうです。

 

補足

最初期のLT30ミニキャブは床からペダルが生えるオルガンタイプです。
パーツカタログには最も新しいLT30とこの最初期のLT30のマスターシリンダの違いについて記載がありませんでしたが、もしかしたら違いがあるかもしれません。

LT2x系ミニカもLT30、T130系ミニキャブもマスターシリンダの内径は同じようです。
よってマスターシリンダのストロークが同じ、且つブレーキフルードの吐出ポートが同じ位置にあれば双方で互換性があるかもしれません(LT2x系のは現物を確認したわけではないので何とも言えませんが)。