劣化樹脂カバーからスチール製カバーに交換
ME24型空冷エンジンのシュラウドつまりエンジンカバーですが、後年車(恐らく昭和46年以降)の場合は樹脂製になっています。
この画像程度ではまだ良いほうで、少し触っただけでパリパリっと割れて不可逆な状態になることも珍しくありません。
そうなるともう元に戻すのは無理で同じものを探してくるしか手立てがありません。。
そして、割れや欠けが大きくなると冷却効率が落ち空冷エンジンにとって致命的な事態になりかねません。
そこで今回、滋賀県のNAOさんから恒久対策として樹脂製カバーからスチール製カバーに交換してみたとの連絡があり、解説付きで画像を提供して戴きましたのでここに紹介を致します。
(本文は原文を尊重して掲載していますが一部変更をしているところもあります)
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ヤフオクでエンジンを入手
ヤフオクで購入したエンジンとミッションです。ME24Eと打刻してあります。
これはフロアミッションなので乗用車のものでしょうか。
(相談所追:このエンジンはA100系ミニカのものかもしれません)
交換前の樹脂製エンジンカバー
当方所有のものです。
コラムミッション、昭和47年式なので最後期。
打刻は ME24G とあります。
ハウジング(シュラウド)が樹脂製で相当劣化しています。少し押しただけでばきばき割れてしまいます。
前期はスチール製、後期は樹脂製ということは判っていたので、前期のハウジングを探していて先のエンジンを見つけました。
軽、それに動けばいい。というこの車のキャラ。
ハウジングごときにスチールから樹脂にマイナーチェンジするにあたり三菱はコストをかけてエンジン本体に手を加えてまで変更したということは考えづらい・・と。
なので無加工で交換出来る!と判断していました。
樹脂製・スチール製の違い
こちらは後期樹脂製ハウジング。
こちらはスチール製ハウジング。
ファン送風部は前後が2分割されていてハウジングの取り外し作業は楽でした。
樹脂製ハウジング用のボリュートチャンバ。
スチール製で一体式です。
こちらはスチール製ハウジング用のボリュートチャンバの一部。
別体式になっています。
左が樹脂製、右がスチール製。
シリンダーフィンまで送風するハウジング。
形状は同じように見えますが、流路のRや長さなどが随分違います。
コイルが接触するので幅も短縮されてるのでしょうか。
相談所追:
このスチール製ハウジングはME21型エンジンのものと同じVX-25982型と思われます。
試作ハウジングのVX-25600型と呼ばれるものも存在しもっとスマートなものですが、冷却効率はVX-25982型より落ちるものだったようです。
取り付ける
ボリュートチャンバのベース部分を取り付け、ヨーク部も取り付けます。
メンテナンス、整備性は前期に比べ後期の方が格段良好のようです。
分解するにはコツ、もしくは薄手のボックスレンチ(浅いもの)が必要。
分割されたファンシュラウドは多くの10mmのボルトで留められています。
これだけでもメーカーの組み立てコストがかかりそうですね。
後期樹脂製のベンチレータワイヤ部。
形状は前期と後期で基本的に同じです。
こちらは後期樹脂製の風洞部とシリンダ部の隙間。
最大の違いというか、相違と思われるところが前方のファンの風洞部と後方のシリンダーを覆う部分との隙間。
前期スチール製は隙間があり各々パーツを固定するボルト挿入が結構面倒・・。
ということで後期では隙間を無くしたのだと思います。
一気にボルト数が激減し組立工場での歓喜が聞こえてきそうです。
旧車を改造する場合、見える部分はより古く魅せるためマイナーチェンジ前に変更することが多いですよね。
で、見えない部分では同型の改良された後期の部品に変更することが多いです。
今回のように前の型に戻すことはある種、退化・・かも。
劣化していなければ後期の樹脂で充分だと思います。
重量もスチールなりに重いです。(1~2kg?)
(今回は、エンジンルームのボデイ側もいずれ塗装するのでこのハウジングも未塗装で、とりあえず組み付けました)
相談所追:
スチール製のカバーは元々ME24用のため問題なく取り付けられるようですが、樹脂製に比べると手間や面倒はそれなりにあるようです。
しかしながら朽ちる心配がほぼない安心感は樹脂製の比ではないと思います。