流用可か否か ホイールシリンダ比較(その1)
一度新品に交換してしまえばその後しばらくは交換の心配はいらないであろうホイールシリンダ。
多少の巣を喰っている状態では何とか使えなくはないですが、2年も経つとカップに線キズが入りだしフルードがにじみ出てきて事態は悪化の一途。
しかしホイールシリンダを交換したいと思っても正規ルートはほとんど出ない状況です。
部品が出ないとなると他車種・他年代のものが利用出来ないか気になるところです。
そこで、オークション等での入手の参考になるように、これまで(無駄に)集めたフロントホイールシリンダを比較してみます。
ちなみに我がミニキャブELはナンバー取得後4年目にしてようやく全輪(全て)のホイールシリンダが新品になりました。
■比較対象車種
ミニカ A101、A102、A103
ミニキャブ T130、T131、LT30V、LO12(※)、LO13
ミニカバン A104V(※)、A105V(※)
(※)参考掲載
どう違う??
こう違います。
- 左上:15/16″ 手動調整用
ミニキャブ5・・・LO12
ミニキャブワイド55・・・LO13 (昭和52年~ 550cc車) - 左下:13/16″
ミニカ70系・・・A101、A101V(昭和47~昭和49) - ミニカスキッパー・・・A102(昭和47~昭和49)
ミニカF4・・・A103(昭和47~昭和51) - 右上:7/8″
ミニキャブEL・・・ T130
ミニキャブW[前期] ・・・T131(昭和47)
ミニキャブバン[前期]・・・LT30V(昭和47) - 右下:7/8″ 手動調整用
ミニキャブW [後期]・・・T131(昭和48~)
ミニキャブバン[後期]・・・LT30V(昭和48~)
(A104V、A105Vのミニカバンは、簡易版パーツカタログに7/8″の記載があることからこの手動調整用が付いていると思われます)
同年代のミニカとミニキャブは同じものが使用されていると思いきや実はそうではありませんでした。
それぞれ車両の特性に合ったものが付いていると思われます。
但しバックプレートへの取り付け穴はどれも同じように見えるためポン付けでイケそうにも思えますが・・
ちなみに山海堂の「三菱ミニカの整備」によるとフロントのホイールシリンダは「3/4″」と記されており謎。
上記「13/16″」は対象が’72年~となっていることから、もしかするとそれ以前のミニカA100、A101は「3/4″」なのかもしれません(資料が無くて現時点では不明です)。
A101型 スキッパーは 3/4″ サイズのホイールシリンダが付いています(2014/06/23追記)。
7/8″ 同士の比較
「T131[前期]のホイールシリンダが欲しいんだけど後期用のを見つけた。使えるのだろうか・・」
のようなことを想定して確認してみます。
上がミニキャブT130型やT131/LT30V[前期]で使用出来るもの。
下がミニキャブT131/LT30V[後期]で使用出来るもの。
パッケージが新しいデザインであり後年まで製造していたかバックオーダーで時々製造していると思われます。
ただ箱が汚れていたりホイールシリンダを包む油紙(?)が劣化していたりしていたので前者のような気がします。
サイドビュー。
同じ7/8”サイズで、隙間調整用のカチカチが付いている以外は同じように見えます。
ピストンは、後記の550cc用の15/16″コーナーで出てきますが両者で構造が違います。
但しカップは双方で流用が使用出来ます(実証済み)。ブーツは形状が違うため流用は出来ません。
右側のホイールシリンダは若干下にズレて撮影してしまいましたが、本体自体の大きさは同じです。
但し気になるのはシリンダの出幅。
右側のシリンダの正常位置はもっと飛び出した状態になりますが、差があるようにも見えます。
ピンボケになってしまいましたが、シリンダの径と位置は同じです。
底面。
全く同じ構造です。
結論
- 手動調整式の車両に自動調整式のシリンダは不可
ブレーキシューやバックプレートが自動調整用の構造になっておらず、隙間調整を行うことが出来ないためです。 - 自動調整式の車両に手動調整式のシリンダは恐らく可
但し、カチカチを取り外し、ピストンを入れ替えることが条件になります。 - カップ自体は双方で流用可能ですが、ブーツは構造が違うため流用は出来ません。
7/8″と15/16″ は入れ替えて利用出来るか
「T131[後期]/LT30V[後期]用のホイールシリンダが欲しいけどネットでLO12/LO13用の見つけた。使えるの?」
のような想定で確認してみます。つまり360cc車用と550cc車用の比較です。
底面です。左が550cc用、右が360cc用。
同じ構造で同じサイズのようで、このまま入れ替えて使用出来そうですが・・・
ピストンを出してみました。
シリンダの内径が違うのでピストンやカップは流用出来ませんが、調整用のカチカチ歯車とカチカチ押さえとそのネジは同じように見えます。
歯車は550ccのほうが若干大きく見えますが、軸は同じ太さのようです。
シューの押さえ部です。
見てわかる通り、全体的なサイズは同じですが高さが違います。
高さが違うということは、シューの厚みが異なるということになります。
結論
- 550cc用を360cc車に取り付けることは不可
ホイールシリンダはバックプレートに取り付くと思われますが、ブレーキシューの厚みが増すためドラムに干渉する可能性があります。 - 360cc用を550cc車に取り付けることは可
ブレーキシューごと入れ替えれば可能かと思われますが、550cc車は重量もパワーも増しているため360cc設計のものでは制動力が劣る可能性があります。
■更新■
2014/06/23 よしぴさんのコメントを反映
(その2へ続く)
自分のa101スキッパーは3/4です。
>よしぴさん
A101で3/4サイズのホイールシリンダー・・・もしかしてスキッパーⅣが13/16サイズかもしれません。。
ミニカ系の資料が少なくセイケンやミヤコ社のホイールシリンダーのパッケージに記載の情報等を参考にしていますが、手元のミヤコ社製のは「スキッパー A102 13/16」の記載がありました。
ありがとうございます。