ミニキャブEL エンジンスワップ(5) ピストンとシリンダ
ピストンをセットアップ!
その前に・・八王子エンジンからオイルポートを調達しておきます。
八王子エンジンとはこのエンジンの調達先が八王子だったことに由来。その他、師匠から調達したエンジンもあり師匠の名前を取って〇〇〇エンジンと呼称するのが当相談所のスタンダード。
そういえば師匠が出品したエンジンを落札したものの、支払もせず受け取りにもいかずの放置案件が1件。
まだありますか??
もう2年も前のことですが。。。
取り出したオイルポートはこれ。
大したことない部品ですが、折損事故を起こしてから神経質になり扱いはとても慎重です。
もちろん正座して扱っています。
これ、よく見ると真鍮製です。先のページを見ると折ったのは鋳物製、その代替としたG型エンジンのは鋳物+真鍮製、そしてこれが総真鍮製。
私みたいに折っちゃう人がいるからその対策としたんでしょうね。
このあと洗浄して大切に保管しました。
ピストン観察
いよいよというわけではありませんが、あまり行いたくない作業です、正直。
理由:つまらないから。
ただ、つまらないと言ってもきっちり作業しないと即オジャンですから、気を引き締めて作業します。
お見せするまでもない部品ですが、見たことが無い方のために (-。-)y-゜゜゜
最重要部品の1つの割には構成がシンプルです。
ピストンの中にニードルローラーベアリングを置き、ピストンの脇からピンを挿入して固定する。
ピンは飛び出ないようにGの字をしたクリップで留める。
これだけです。
なお、ニードルローラベアリングはこのようにしてコンロッドに入れます。
ピストンのヘッドには刻印がされています。
- 取り付け向きを示す矢印(矢印打刻:ピストン組み込み方向矢印)
- サイズ記号(STD:スタンダードサイズ/OS:オーバーサイズ)
- ピストン外径選別符号(85/75/65)
- ピストンピンとの選別符号(B/C)
これら全て重要な情報で、厳密には単純な流用が出来ません。
”この選別符号とこの選別符号を合わせて100になるようにする”など、ピストン・ピストンピン・ピストンローラーベアリングの組み合わせは明確に決められています。
ですので、あっちのエンジンのピストンとこっちのピストンピンを組み合わせて・・とはなりません。
1つ1つ調査をして規格に合う組み合わせを見つける必要があります。
やってみる
では組み付けます。
ピストンピン、これは常温化では押し込めません。無理やりやっても入りません。
必ず温めてから行います。
なお温める道具は「1000W 瞬速ターボドライ 静か」で行う必要があります。
温めの温度ですが整備書には「50℃±20℃」と書いてありましたが、その温度に達したかはサーモグラフィでも用意しない限り無理なので野生の感覚で温めます。
温めて押し込んでみる、入らなければ再度温める、を繰り返しているうちにピンが入っていきます。
では、何故温めると入るのか・・・
ピストンピンとピストンは熱膨張係数が違うからです。
これが何のことか分からなければシリにでも聞いてみて下さい。
Gの字をしたクリップを入れますが、こいつが固くて一苦労。
整備書には再利用するなとありますが、手に入りませんので再利用します。
飛び出た部分をラジペンでつまんでねじ込むようにして入れる必要がありますが、この時に勢い余ってピストンに傷を付けないように最新の注意が必要です。
そして野生の勘を頼りに苦労して入れて完成!と思ったら左側のピストンを逆に入れてました(笑)
いやあ、笑いごとではありませんYO。
恒例作業
エンジンをばらした時に行っている作業。
ちなみに、今のエンジンはこれ。
シリンダを付ける
切り出しておいたベースガスケットを入れます。
紙コップはピストンの保護です。
画像が撮れなくて残念ですが、シリンダを入れる際はシリンダを持っていない片方の手でピストンリングを押さえこみながら垂直にゆっくりおろしていきます。
ピストンリングは3本あるので上から順番に1つずつ確実に押さえ込みながらシリンダを入れていきます。
ピストンリングを押さえこむ場所はリングの合口から90°のところを左右から押さえ込みます。
ちなみに3本とも合口の位置が違いますし、シリンダは相当重いのを片手で維持させなくてはならないのでとても大変です。
少しでも疲れたと思ったら無理せずに休んでから行ったほうがよさそうです。
ムリして作業を続けて傷をつけてしまっては大変です。
ちなみにシリンダにも向きがあるので注意して下さい。
インマニが取り付く側にエキマニ側がこないようにしてください。
これでお次はシリンダヘッドの取り付けです。