勉強不足
当サイトを閲覧した方から、
’73年式小板ナンバー車のミニカF4にタンデムタイプのマスタシリンダが装着されているが、そのリペアキットの型式を教えて欲しい
という問い合わせがありました。
A103型ミニカF4 小板ナンバー → 昭和48年式確定 → シングルタイプのマスタシリンダのはず。。。
え?!
昭和49年以降であれば安全対策の関係からタンデムタイプのマスタシリンダのはずですが「これは何か勘違いされているのでは?」と思い画像を送ってもらうとなんとタンデムタイプのマスタシリンダが!
完全に勉強不足・・。
手持ちの’73年式ミニカF4のパーツカタログにはシングルタイプのマスタシリンダが掲載されていたため、てっきり
- ミニキャブも含めて小板時代車(白ナンバー車)は全てシングルタイプのマスタシリンダ
- 黄色ナンバー車(昭和49年以降車)がタンデムタイプのマスタシリンダ
と思っていましたが、保安基準改正に伴い昭和48年7月以降は「二重安全ブレーキの装着」が必須になっているようです。
どのような種類があるのか・・
550cc初期頃までにタンデムタイプのマスタシリンダが設定されている車種と対応する型式は以下の通りです。
車種 | マスタシリンダ型番 |
リペアキット型番 |
備考 |
ミニキャブELバン(LT30V型) | 不明 | MB043535 | |
ミニキャブ(後期T131型) (’73年7月~最終) |
不明 | MB044836 MB044837(?) |
MB044836はCHK(千曲製作所社製) MB044837は詳細不明(紙片にこの型番の記載あり) |
ミニキャブ5(L012型) | 不明 | MB044643 | |
ミニキャブワイド55(L013P型) (’81年9月~) |
設定無 | MB238465 | |
ミニキャブワイド55(L013P型) (~’81年8月) |
設定無 | MB134700 | |
ミニキャブワイド55(L013P) (ブースター付車) |
設定無 | MB238975 | ブースター付車用 |
ミニキャブワイド55(L015P型) (’82年8月~) |
設定無 | MB238976 | ブースター付車用 |
ミニカF4(後期A103型) (’73年7月~最終) |
MB044641 | MB043535 | 千曲製作所社製マスタシリンダ使用(CKM 3/4の浮き出し) ミニキャブELバンと同じリペアキットを使用? |
ミニカ5(A104型) | 不明 | MB044644 | アイシン精機社製マスタシリンダ使用(ASCO 3/4の浮き出し) |
ミニカ5バン(A104V型) | 不明 | MB044644 | アイシン精機社製マスタシリンダ使用(ASCO 3/4の浮き出し) |
ミニカアミ55(A105A型) | MB044646 | MB044643 | ミニキャブ5と同じ型番。但しパーツカタログの図はMB044644になっており詳細不明。 |
ミニカ55バン(A105V型) | MB044647 | MB044644 | ミニカ5、ミニカ5バンと同じリペアキットを使用 |
- ”不明”はパーツカタログが無いため未確認
- ”設定無”はパーツカタログに記載無し
- 型番が新型番に変更されている可能性あり
ご覧の通りかなりのバリエーションがあり、互換性がありそうでなかったりとしている点に注意です。
千曲製作所からアイシン精機への変更
ミニキャブ’74年主要変更点/ミニカ5(同55バン)’76年主要変更点を確認すると、軽自動車の550cc化のタイミングでマスタシリンダを千曲製作所からアイシン精機に変更されている模様。
該当車種はA103型ミニカF4で、恐らくT131型ミニキャブWとLT30V型ミニキャブELバンも含まれると思われます(年代的に)。
この件で厄介なのが両者でリペアキットの互換が無い恐れがある点で(事実型番が違う)、もしそうだとすると製廃のため入手が困難であり後年のリペアキットを使用したい場合は畑でマスタシリンダを見つけてくる必要がありそうです。
ミニカ5(同55バン)’76年主要変更点に書かれていることだけで判断すると、バネ自由長と巻き数の変更によるピストンストローク量の変更のみのようなので例えばミニカF4用「MB043535」とミニカ55バン用「MB044644」間では流用出来そうですが、ここには言及されていない設計変更(例えばフルード吐出位置の変更)があると流用出来ない可能性が大です。
互換性の観点から確認するとさらに混乱させる情報もあります。
下図はT131型ミニキャブ用のマスタシリンダリペアキットですが紙片が入っています。
ここには「CKM(千曲製作所)と浮出し表示されている軽自動車用マスタシリンダにしか使用出来ません。」とあります。
つまり後年に変更されたASCO(アイシン精機)には使えないということで、MB134700又はMB134701を使用するよう指示があります。
このMB134700(MB134701)は’81年8月までのミニキャブワイド55と同じものですが、’81年9月以降はMB238465に変更されているため互換性があれば入手の可能性は高まりますが、資料不足によりこれ以上の詳細は不明です。
(補足)
こちらのサイトにはMB134700とMB238465では互換性がある書き方をしているのが気になります。
考察
360cc→550CCへの移行時代の車両については仕様の変更がちょこちょこあるようで、出来れば流用せずに専用型番のものを使用したいところです。ただ入手性については非常に困難ですので、場合によってはマスタシリンダごとの交換も視野に入れる必要があると思います。
各車のマスタシリンダ部品構成
マスタシリンダの部品構成です。
リペアキットの組み方の参考にして下さい(A103型 ミニカF4はシングルタイプの図です)。
LT30V型 ミニキャブELバン
L012型 ミニキャブ5
L013型 ミニキャブワイド55
A103型 ミニカF4(シングルタイプ)
A105V型 ミニカ55バン